大判例

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名古屋地方裁判所 平成10年(わ)74号

主文

被告人を懲役一年六か月及び罰金二五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人は、名古屋市千種区内山三丁目一三番一二号のシャンボール千種六〇二号に居住し、キャンパスパブ「パテオ」、同「ビギ」、ファッションヘルス「ギャルズコレクションⅡ」、同「アンティウス」及び同「スーパークイーン池下店」の名称で風俗営業等をしていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、キャンパスパブの経営者を他人名義にし、ことさら過少な所得金額を記載した所得税確定申告書を作成して申告するなどの不正な方法により所得を秘匿した上

第一  平成六年分の実際総所得金額が九七〇二万六七二六円でこれに対する所得税額が四二三八万四五〇〇円であったのに、平成七年三月一五日、名古屋市千種区振甫町三丁目三二番地所在の所轄千種税務所において、同税務署長に対し、平成六年分の総所得金額が二三四万一四八九円で、これに対する所得税額が一五万九二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額四二二二万五三〇〇円を免れ

第二  平成七年分の実際総所得金額が七四八九万七七四二円でこれに対する所得税額が三一〇一万九〇〇〇円であったのに、平成八年三月一五日、前記千種税務所において、同税務署長に対し、平成七年分の総所得金額が七三八万二九一六円で、これに対する所得税額が一〇二万〇四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、正規の所得税額との差額二九九九万八六〇〇円を免れた

ものである。

(証拠)

括弧内の番号は、証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。

全部の事実について

1  被告人の公判供述、第一回公判調書中の供述部分、検察官調書七通(乙2ないし8)

2  高山忍こと崔忍の検察官調書(甲22)

3  査察官調査書一一通(甲1ないし11)

第一の事実について

4  証明書二通(甲14、16)

第二の事実について

5  証明書二通(甲15、17)

(累犯前科)

一  事実

1  昭和六二年八月六日名古屋地方裁判所岡崎支部宣告

売春防止法違反罪により懲役二年(四年間執行猶予、平成元年一一年一五日右執行猶予取消し)

平成四年三月一七日刑の執行終了

2  平成元年六月二八日名古屋地方裁判所岡崎支部宣告

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反罪(1の執行猶予中の犯行)により懲役五月

平成二年三月一七日刑の執行終了

二  証拠

1  前科調書(乙10)

2  調書判決謄本(乙12)、判決書謄本二通(乙13、14)

(法令の適用)

罰条

第一、第二の各行為につき

いずれも所得税法二三八条一項、二項(情状による)、罰金等臨時措置法二条一項

刑種の選択

いずれも懲役刑と罰金刑を併科

累犯加重

刑法五六条一項、五七条

併合罪の処理

刑法四五条前段

懲役刑につき 刑法四七条本文、一〇条(犯情の重い第一の罪の刑に法定の加重)

罰金刑につき 刑法四八条二項

労役場留置(罰金刑)

刑法一八条

刑の執行猶予(懲役刑につき)

刑法二五条一項

(量刑の理由)

本件は、風俗営業など多数の店を経営する被告人が、所得を過少申告するなどして多額の所得税を免れたという事案である。

そのほ脱額は、二年間で合計約七二〇〇万円にも達し、ほ脱率も、平成六年分が九九・五五パーセント、平成七年分が九六・五五パーセントといずれも極めて高率である。

そして、被告人のほ脱の手口は、計画的かつ巧妙であり、被告人のこれまでの前科も考え合わせると、被告人の刑事責任は重いといわざるをえない。

しかしながら、被告人が本件犯行を素直に認め、既に修正申告等を済ませ、本件について深く反省をしていること、被告人の家族環境など、被告人にとって酌むべき諸事情を考慮し、刑の執行を猶予することとした。

(求刑 懲役一年六月及び罰金二五〇〇万円)

(裁判官 堀毅彦)

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